【ツキウタ。】Legend of Moon Princess
第1章 出会い
「あれ、君たち、もう会ってたのか」
社長室に入ったとたんの、彼―社長からの第一声はこれだった。
始と隼にとって不審なことである。
困惑の表情を浮かべるのもうなづける。
まるで、会う必要があるような口ぶりである。
そこに一緒にいたグラビとプロセラのマネージャーと、この事務所の社長、そして当事者であるはずのタクトは、何食わぬ顔で立っていた。
彼女――否、彼はなぜここにいるのか。
始はタクトを盗み見ると、少し緊張している面持ちに見えた。
「おっしゃっている意味がわかりません。彼に会ったら何か良いのでしょうか?」
始が率直な意見を述べた。
「僕もわからないですね、社長。
大と奏は知ってるんだ?」
自分たちのマネージャーに向き直る隼。
「ああ、まあな」
コホン。
社長は咳払いひとつして、注目させた。
「彼は、タクト。
お前たちのグループ、Six GravityとProcellarumに、今日から加入してもらう」
「「!!」」
たぶんきっと、
彼らにとっては、デビューが決まった時以来の、衝撃である。