【ツキウタ。】Legend of Moon Princess
第1章 出会い
「なになに、Divaの話ー?」
「俺も好きっすー!」
「……綺麗な、声。好き」
合流してきたのは年少組。
「この前秋原行ったんだけどさ、駅のアナウンスって絶対Divaだと思うんだよね~。違うかな?」
「えっマジ!? 今度行ってみようかな」
「てゆーか、恋、良くアナウンスでわかったな。
Divaって色々声使い分けてるじゃん」
「へへーっDivaの熱狂的ファンのコイックをなめないでくれたまえ!」
「結構……使われてる。CMとか」
「えっ! CMって!? 涙、わかるの?」
「……うん、ほら、このCM……とか」
付いていたTVを指さす涙。
そこにいた皆が注目すると……流れていたのは、赤ちゃん向けのオムツのCM。
「えっこの、女性の歌!?」
「うん……あと、このナレーション。声、すごく優しい」
「へえ……ナレーション。こんな声も出せるんだなー」
皆、感心していた。
PVだってDivaの歌っている姿さえ映さないし、もちろんテレビ出演すらない。
CMのナレーションなど、出演情報にすら載らない。否、意図的に載せていないのかもしれない。
人より音を聞き分ける能力のある、涙ならではの発見だろう。
「よう、みんな~」
「集まってるみたいだね」
そこに集まったのは年長組……の、海と春。
「も~春さんが呼び出したんじゃないですか~」
「正確には、リーダーの始と隼だけどね」
しかし、その噂の2人がいないことに気づく、年長組以外の一同。
今日はここプロセラ寮で合同ミーティングの予定があり、メンバー全員が集まるというお達しが来ていた。
「あれ~?でも当の2人がいないっすよ~?」
「そうなんだよね。なんか2人とも、社長とマネズに呼ばれてたみたい」
「え……グループのリーダーが2人とも?」
「気になるー」
「もしかして、ライブやるとか!?」
「まじか! 楽しみだなー」
「いやいや、まだ決まったわけじゃないからなー」
「とりあえず皆、お茶入れたから飲んで待ってようか」
「おう!」
「あ、俺いちご牛乳―」
そう、年長組の面々も、真相を知らない。
社長と、マネージャーと、彼……否、彼女以外は。