【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】
話は忍術学園へ来る途中まで遡る。
「―麻言、一応先に言っておきたいことがある」
少し前を先行する第三協栄丸が立ち止まり、そう話を切り出したのだ。
「どうしました?」と麻言が問いかけると。
「えーとな。忍術学園に着いたらも、色々質問されるかもしれないんだが……。
お前さんが剣士である可能性がある事はあえて話さない方が良いと思う。
だから、例えばお前が持ってたあの刀で鮫を切った事とかもな」
第三協栄丸がそこまで話すと、今手元にない自身の刀が頭にふと横切る。
そして、それを今日は第三協栄丸が置いていくように言ったを思い出した。
「忍術学園と俺達は友好関係ではあるが……お前さんは何しろ、
兵庫水軍に入ったばかりな上、
事情も事情なだけに学園の者に警戒される恐れもあるからな」
「忍術学園って、そんなにピリピリした方が多いんですか?」
そんな間の抜けた質問に第三協栄丸は苦笑して
「麻言、お前……。初対面だった時、
兵庫水軍の皆がお前を警戒してた事を忘れたのか?」
「う~ん。確かに、少しピリピリはしてましたかねえ」
「……なんつうか、肝が太いなあ、お前さんは。
まあ、とにかく……疑わしい者は警戒するのが普通なんだ。そうやって皆、領地や仲間を守っている」
何か寂しい事だけどな、と加えて笑う第三協栄丸は少し悲しげだ。
麻言はどう言葉を掛けていいか解らず俯いていると
「だがな―」と第三協栄丸が続けた。