【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】
そこまで思考すると雷蔵はぴんときた。
「そっか……!この人が例の『見目麗しい、兵庫水軍の女剣士さんっ』!?」
そう雷蔵が叫んだ途端。
かっと麻言の顔が赤く染まり、驚いた雷蔵も一緒に赤くなった。
「あ、あの……その呼び名何とかならないかなぁ。
ぼ……僕自身がそう言ったわけじゃないけど、なんというか何か……」
ほんっとう、正直居た堪れない……っ。
それに、その呼び名を思い出すと麻言は忍たま三人に軽率に話した
自分への罪悪感や自身への容姿に相対する姿が
忍術学園中に広まっているという恥ずかしさ等
色々な思いが巡って何処かに隠れたい衝動に駆られるのだ。
「えええぇ、いやあの……!
正直、僕何だか状況がよく解らないんですけど、
でも、貴女すごく可愛いと思いますよっ!
見目麗しいとはまた違う意味ですけどっ!!」
両手で顔を隠す麻言にしどろもどろで雷蔵がまくし立てると
自身がとんでもなく恥ずかしい事を口にしていると気づき、固まった。
一方麻言も目を点にして固まっている。
「―あっ、ああ違うんですっ!ああ、否っ、違ってはいないんですけどっ!
ごめんなさいっ、今言ったこと忘れて下さいっ」
先に我に返った雷蔵が慌てて撤回しようとしたが、
それを見て思わず麻言は吹き出した。
「ははっ。ご、ごめん……っ!
いあ、お世辞だって事は解ってるんだけど、
何か嬉しかったなあ。有難う」
「ふぇっ!?っあ、ああ……、いえ」
お世辞、ではないんだけど……。
そう思いつつも、微笑する麻言に対し顔をそらして照れくさそうに頭をかいた。
その様子を
じとっと半目で、一年は組達は見ていた。
「―麻言さんっ、そろそろお昼食べに行きましょうっ!」
「僕らお腹空いちゃったあ」
庄左衛門と喜三太にそう急かされて、麻言は皆に背中を押され
食堂内に入っていく。
そして。
「雷蔵先輩っ。先輩も食べるんなら早くしないと時間がなくなりますよっ」
と、残っていた伊助が少し棘のある声で言うと。
「あ、う、うん。そうだね」と苦笑しながら雷蔵は答えた。