【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】
「―あれっ?」
炊事場の扉を開けると鬼蜘蛛丸と第三協栄丸がいた。
何やら話していた様子だが、二人は麻言を見ると
「よお、お早う麻言っ!」
「そろそろ、仕込みかい?」
「お早うございます、お頭、鬼蜘蛛丸さん。
そうです、今から始めようと思って」
笑顔で話しかけてきた二人に同様に笑顔で返す。
麻言はここに来て数日経った頃から、第三協栄丸を
皆と同じように”お頭”と呼ぶようになっていた。
もう兵庫水軍の仲間なのでそう呼んでくれという本人の希望でだ。
「そうそう、今日は朝食の用意だけしてくれないか。
悪いがちょっと、別に頼みがあってなあ…」
「頼み…もしかして、何か他に別のお仕事を教えてくれるんですか?」
「ああ、否。そうじゃないんだ。
えっと、実はな…老夫婦の事を前に俺達が海路、
それで陸からは”その道の専業”に頼んで
探して貰う―って言ってた事覚えてるか?」
「はい。勿論覚えてますよ。…まさか、その方がどうかしたんですか?」
心配するように麻言は訊ねるが
「ああ、違うんだ。多分元気だとは思うんだが…!
―実はな、俺がその依頼を頼みたい相手は忍術学園の教師、
山田伝蔵先生の息子さんなんだ。とても腕の良い忍者でな。
で、最初に乱太郎達に持たせた手紙の返事では
”息子も己の忍業で忙しいので暫し待て”
…と言うことだったんだが…」
「ふむふむ…」
「しかし、春休みで山田先生が家に帰った時も
その息子さんに全然会えなかったらしくてなあ。
先日こんな手紙が来たんだ」
第三協栄丸は懐から手紙を取り出すと麻言に見えるようにした。
しかし。
「あの、すいませんお頭。僕字が読めなくて…」
「おっと。確かそうだったな!すまんすまん、じゃあ俺が読んでやる。えーと…」