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【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】

第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】


時が過ぎるのは早いもので。
麻言が兵庫水軍(現在料理担当)に入ってから、
三週間程になる。
其時は春前で海に吹く風はまだ冷たかったが、
今ではすっかり陽射し共に春の暖かさをまとっていた。
浜辺付近に設置された用具倉庫の傍で、航が一人魚網の修繕を行っている。

「お早う、航」

その呼び声に反応し、頭を上げた航が笑顔を見せた。

「お早う。てか、本当に早いな麻言」

珍しいなあとでも言うような顔をしている。
普段の麻言だったら後小一時間は寝ているのだ。
その言葉に少し苦笑しながら

「今朝はちょっと夢見が悪くてねぇ。少し早く目が覚めたから、散歩してたんだ」
「ああ、成程なあ。って、一体どんな夢見たんだ?」

内容が気になる航はつい前のめりになるが、

「あ。でも、忘れちゃった」

あっけらかんと麻言が言うとそのまま危うく倒れそうになった。
「なんじゃ、そりゃ…」と呆れたように笑う。

「あははは、ごめんごめん。
―しかし、もう春なんだねえ。何か早いなあ」
「季節が巡るのは、あっという間だもんな」

航がそう同調すると、「本当だね」と麻言が微笑する。
そして一際大きな波の音が響き、ふいに海を方を見た。
朝陽に輝く海面が美しくそのまま思わず見とれてしまう。

「……やっぱり、良いね海は。綺麗だねえ」

お前もな、っと航は思ったがとても気恥ずかしくて言えない。
そんなキャラじゃないし。それに言ったら、恐らく顔から火が出る。
気の利いた色男ならきっと口にして
良い雰囲気を作ることができるのだろうが―。
そう思った途端、兄貴分である義丸の顔が浮かんで航は苦笑する。

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