第1章 兵庫水軍との邂逅

その晩。
忍術学園にて。


山田伝蔵は夕刻に帰ってきた生徒三人から渡された手紙を読んでいた。
ちなみにこれが初めてではない。

…あの、三人になんてもんを持たせるんだ第三協栄丸の奴。

内容は意外にも重要な、ものだった。
それ故、確認の為に読み返しているのだ。

はっきり言って、あの脳天気な三人に
気軽に渡して良いものとはとても言えない。
歯噛みしながら、伝蔵は手紙を寄越した本人に心の中で悪態をつく。
本当は目の前で怒鳴り散らしてやりたい所―だが。

「とにかく、一度会ってみんとな…」

そう呟くと、自身への手紙と一緒に同封されていたもう一つの手紙へと
目を向ける。

―これが何か良くない事の前触れでない事を祈りながら。







第一章　～完～