【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第1章 兵庫水軍との邂逅
~おまけ~
水軍館より少し離れた、砂浜。
白南風丸は涼やかな波の音を聴きながら、
膝を抱えていた。
自身の乱れる心を鎮めようと。
昨日の出来事があまりにも脳を
圧迫し過ぎていて落ち着かない。
無になるようと心がけないと、
ふと浮かび上がる情景は…
まあ、同じ年頃の男性がいれば
察しがつくかもしれない。
「はあ、どうしよう」
「何がどうしようかな?」
背後からの声に、ぎょっと振り向こうとしたが
頭を固定された。
「お前、こんなとこで何してんだよ白南風丸…」
途端、自分が取り囲まれている事に気付いた。
正面に立って呆れた様に言ったのは重。
そして間切、網問がそれぞれ白南風丸の隣に。
ちなみに頭をしっかりと掴んでいるのは航だ。
「あれっ。皆さん何でこんな所に?」
『だから、それはこっちの台詞だっつーの!』
気の抜けるような白南風丸の問いに四人が一斉に言った。
白南風丸はたまらず耳を塞ぐ。
―と。
ぬっと幽霊のような仕草ですぐ目前に網問の顔が現れ、
『ひぃっ』と小さく悲鳴を上げた。
「ところでさあ。聞きたいんだけど…
昨日、白南風丸頭打って麻言に介抱されたって…本当?」
ぎくりと白南風丸の肩が震えた。
現在自身にとって禁断の言葉だ。
麻言の入浴時の様子が瞬間的に蘇りそうになる所を
脳内で必死に掻き消す。
「み、みたいです?
えと、あ…あんまり覚えてないんですけど」
そういうと
「…ふ~ん?」
網問が軽く頷きながら、笑みを浮かべる。
よく見ると全員が微笑んでいた。
が、皆目が笑っていない。
周囲の気温が一気に下がったような気がした。