【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第1章 兵庫水軍との邂逅
ーすると。
「ああ、そうそう。ちょうど良かったっ!」
と思いついた様に第三協栄丸が声を上げた。
「なあ、乱太郎。ちょっと、今から山田先生宛に手紙を書くからよ。
書き終わったら渡すから、帰ったら山田先生に渡してくんねぇか?」
「へっ、山田先生に?」
「珍しいっすね、第三協栄丸さんが山田先生に手紙なんて」
第三協栄丸の頼みに意外そうな顔を見せていた乱太郎ときり丸だったが
「良いですよ。任せて下さい」
そう二つ返事で乱太郎は了承した。
そしてその後。
麻言は乱太郎達の相手を第三協栄丸に頼まれ、
岩場の方で釣りを楽しんでいた。
と言っても、麻言は見ているだけだったが。
そして、その間麻言は三人から色々と質問攻めに合い
自分の事情を洗いざらい話す事となった。
それは三人共十歳だと言うが、話が妙に上手なのもあってだ。
記憶喪失と聞いて最初は驚いていた三人だったが
「まあでも、そういうのっていつか思い出すもんだろ?」
本日何匹目かの魚を釣り上げると、曖昧にきり丸が言った。
「そういうものなの?」
「もう、キリちゃんは~。無責任な事言わないのっ」
驚いたように言うしんベエに対し、
乱太郎はきり丸を咎めるようにそう言った。
しかし、麻言は笑って
「あはは、大丈夫。気にしないよ。
優しいんだね、きり丸君は」
だから、心配しなくていい。
きり丸の言葉をそういう意味で麻言はとらえていた。
楽しげに三人の様子を見ながら麻言は言うと
「べ、別にそんなんじゃ、ないっすよ」
ときり丸には珍しく照れながらあたふたしていた。
「ただ…そう思わねえと、いつまで経ってもしんどそうじゃん」
言いながら、再び餌を付けて釣り竿を投げ入れた。
しんどい…か。
でも、記憶がない事に関しては
不思議としんどさは感じていないのかもしれない。
それより…寧ろ―