【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第1章 兵庫水軍との邂逅
―老夫婦と一緒に住むようになってから
三ヶ月程経ったある日の事だった。
その夜、仕事の後三人で鍋を囲んでいたのだが
急に婆様が溜息を付くと、こう言い出したのだ。
「もしも…私達がいなくなったら、麻言はどうなるんでしょうねえ」
ぽつりと、とても切なそうに。
「そうじゃなあ、それに…記憶の方もこれから戻るかも解らんしのぉ」
そう言って爺様も同意すると、深くため息をついた。
そんな二人にどう言葉を掛けて良いか迷い、
麻言は交互に見てオロオロしていた。
ーと。
「―そうじゃっ!」
閃いたっ!と言わんばかりに婆様が立ち上がったのだ。
「どうしたんじゃ、婆さん。急に立ち上がって」
「どうしたもこうしたも!婿ですよ爺さんっ!」
「はあっ?婿ぉぉっ!?」
婆様の突然の思いつきに、動揺した爺様は叫んだ。
麻言も声こそ出してないものの、驚き目を丸くしている。
「そうっ!婿を取って、この家で一緒に暮らせばいいんじゃよ」
「しかし、婆さん婿って…
そんなその辺に転がってるもんじゃあないだろう」
目を丸くしたまま爺さんはそういうも
「だからっ、探すんですよ!明日からっ、町でっ」
輝く眼をした、婆様はそう提案したのだ。
いつもの倍の声を張り上げて。
「ほ~う。成程のう」
感心したように爺様が頷く。
「あのでも、お婆さん僕…」
麻言は何か言いかけたが、婆様は聞いてないようで。
「よしっ、そうと決まったら
明日は早めに町で婿探しじゃっ!さあ、爺さんとっとと寝ますよっ」
「えっ、ちょ…!婆さん!?」
「…あっ、麻言。悪いんじゃがその鍋かたしといてくれるかい?」
「あ、うん。勿論」
婆様に寝床へと引きづられていく爺様。
そして言われるがまま麻言は鍋に手をかけた。
「じゃあ、麻言…!期待してるんじゃよ!」
婆様は片手の親指を立て、
笑顔でそう言うと居間の襖を閉めた。
最初は麻言の事を哀れに思い、
気を使った冗談だと本人はそう思っていた。
しかし。
数週間経ったある日。