【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】
……そうだったのか。
そんな事、思っていなかったのに。
否……、俺の態度がそう思わせてしまったのだろう。
実際彼女に対して避けてしまっていた。それは事実だ。
「――すまなかった。……私は、その……、お前のように上手く言葉を伝えるのができなくてな。仲間にも、言葉が足りないと指摘された事があるのだが……」
克服する努力をしなかった報いが今来たのかもしれないな――
そう言い訳じみた事を口にしている間、非難するような顔も言葉にもせず麻言はただ私を見ていた。見守るように。
懺悔の様な言葉を吐き出すと麻言は
「そんな事はないと思いますよ。後、それって時間が解決してくれると思うんですよ~」
と、なんでもないように言った。
「今だって時間が経ったから、こうやって僕は舳丸さんと話せるようになりましたし、きっかけもできました。――それだけ、もう僕らはずっと一緒にいるんですよ。舳丸さん、どうか無理はしないで下さい。人間生きる時間は一緒でも、心の進み方は其々なんですから~」
「――っ……」
――――……この娘は。
つまりは、そのままで良い、と言ってくれているのか? この私に。
不思議と心がじんと染み入るような暖かさに包まれている気がした。
「今日は、私も、お前と……、話せてよかった」
たどたどしくも何とか思いを伝えると、
「舳丸さん、今日だけじゃないですよ」
僕は兵庫水軍で仲間なんですから、またいつでもお話できます。
と、笑う麻言に目を瞠っていた。
その言葉に、今まで麻言へ抱いていた罪悪感から開放された気持ちになった。
改に別の申し訳なさも感じたが、
「――そうだな」
人々の喧騒をまるで遠くに感じながらそう一言、私は肯定した。