【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】
――しかし、麻言がそう言った時私は。
「お前っ、軽く見ているが海辺の環境が野菜作りに適さない事は、知っているのか?」
簡単にそう言って折角種を買ったにしても、無駄にしたらどうするんだ?
そんな風に問い詰めたところ、「舳丸っ」と咎めるようにお頭が何か言いかけたが、
「大丈夫っ! やってみますっ」
楽しげに笑って麻言は――
何の根拠のない言葉なのに、根拠(こんきょ)があるようにそう言ったのだ。
それに思わず私もお頭も目を瞠って、黙ってしまった。
しかも、その後麻言は種の代金は出すと言ったお頭の言葉を「大丈夫とは言いましたが、まあ、確かに試すようなものなのでお頭からお金は頂けません」頑なに断った。
正直私も少し言い過ぎたなと、反省した。
兵庫水軍の為を思ってやろうとしてくれている事に、まるでケチをつける様な……。
罰が悪く、出発してから私から彼女に何も言葉を掛けられずにいたが。
対象的に麻言はのんびりと私に色々と話しかけてきた。
老夫婦と住んでいた時の楽しみが野菜を育てる事だった話。
実は、少し前からこの海辺付近で畑を作ってみたいと思っていたこと。
最初は上手く返事ができなかったが、町に近づくにつれ次第に少しずつ彼女と会話が続くようになっていた。
「――あっ、舳丸さんっ!あそこが町ですか?」
「ん? ……――ああ、そうだな」
道すがらに町のことは話した。
どういえば良いのか解らなかったので、"建造物が密集している"とでも確かそう答えたのだが――。
目前に見えた光景を指差す彼女は私が認識している"町"だとちゃんと理解してくれていた。
――なんだ、もう着いてしまったのか。
と、何故かそんな風に思ってしまったいた。
むしろここは、慣れない会話が続いて安堵するところではないのか?
そう考えていたが、隣りにいた麻言が嬉しそうに目前の町を見ている様子に、不思議とどうでも良くなってしまった。