【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】
「きっ、昨日?」
「そうだっ!俺はあんたに"戦闘が終わるまで動くな"っつったのに、何勝手に動いてんだよっ」
「――ああっ」
麻言は思い出した。
そういえば、木の後ろに隠れるよう促された時、そう言われた気がする。
「私があの時とっさに、"手裏剣で奴の動きを封じた"から助かったものを……っ!!一歩遅ければ、あんたは真っ二つだっ!」
その三郎の言葉にぴくりと第三協栄丸は反応する。
麻言はと言うと申し訳なさそうに両手を合わせて
「ご、ごめん……。忘れてた」
とあっさり自分の非を認めた。
呆けたように三郎が口をあけていると周囲の皆がぷっと吹き出した。
途端に笑いの渦に包まれる。
「笑うなっ!こっちは必死だったんだぞっ」
「あっはっはっは……っ!まあでも、皆無事で良かったよ」
「全く……っ。三郎、逆ギレしとるようだが、それはお前の油断も悪いぞ。精進しろ」
三郎が怒る珍しい光景を腹を抱えて笑う半助とは裏腹に、
伝蔵は呆れつつもそう警告すると三郎は不服そうにしながらも「はい」と一言。
そう言って、定位置に戻ろうとした三郎が。
――これで、貸し借りは無しって事で。
と第三協栄丸の横を通りすがら耳打ちした。
それを聞いた第三協栄丸は、思わず苦笑した。