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【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】

第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】



「――ほら、もうちょっと寝てろっ」

声は少しぶっきらぼうだったが、寝床に優しく横にすると布団もかけてやった。
だが、それに麻言はおろおろとしながら

「義丸さんっ、でも、僕鬼さんに昨日からずっと食事任せっきりで……っ!」
「大丈夫だってっ!それは、鬼蜘蛛丸もちゃんと解ってるから。お頭や皆もそうだ」

身体を起こそうとする麻言を制しながら、努めて優しく言う。
しかし、義丸はちょっと引っかかった事があった。
麻言の"鬼さん"呼び。
そういや、この間までは"鬼蜘蛛丸さん"だったのに。
何故か妙な苛立ちを覚えた。

「あの、義丸さん。でも鬼さん今日もお仕事――」
「――いい加減にしろっ」

更にまだ何か言おうとした麻言へ、気付けば突き放すようにそう言っていた。
麻言は驚き、目を丸くしている。
それを見て義丸ははっと我に返ると、

「すっ、すまん。言い過ぎたっ」
「……あっ、いえ、ごめんなさい。義丸さん心配してくれてるのに僕……」

慌てて謝る義丸に、心底申し訳なさそうな顔で麻言が言うと

「お言葉に甘えて休ませて頂きますっ。有難う義丸さん」

苦笑して頭を下げた。

「あ、ああ……」そう曖昧に返事をすると、義丸は足早に部屋を出た。
すると、どっと後悔の念が押し寄せる。

昨日彼女を守ろうと皆で言っていて、早々に傷つけてどうする。
何をやってるんだ、馬鹿か俺はっ。

女性の扱いには、義丸は長けている。
だからこそ傷つけない方法は解りきっている。
筈なのに。

何故自身があのようにきつい言い方をしてしまったのか理由が解らなかった。
解らないまま、義丸はとぼとぼとその場を去った。
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