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【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】

第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】




麻言が目を覚ましたのは、その翌日の朝。
と、言ってもいつも起きて朝食を作り始める時間より随分寝入ってしまった。
寝ぼけ眼で、まばゆい外の光を見る。
その顔が段々青ざめたものへと変わっていく。
遅刻。
その二文字が頭を過ぎった途端、家の中をひっくり返すように起床準備を始めた。

やらかしてしまった!やらかしてしまった!
炊事場まで走る麻言の全身から冷や汗が流れていた。
寝坊など、こんな事は初めてだった。
老夫婦と住んでいた時も、一度としてなかったのに。
麻言の体内時計はしっかりしているのか、ほぼ毎日時間通りに目覚めるのだ。
ようやく、炊事場までたどり着くとその扉を麻言は勢い良く開けた。と。
その瞬間、煮炊きの匂いと共にふわりと湯気が立っている光景を目にする。
へ?と麻言の目が丸くなった。

「――おお、麻言っ。お早う」
「え、あ、え?お、お早うございます」

何事もないかのように、普通に鬼蜘蛛丸が挨拶をしてきた為麻言も戸惑いつつそう返していた。

「おっ、やっと起きたんだな~っ。心配したんだぞ~」

鬼蜘蛛丸の影からひょいと現れた義丸が、そう言って笑う。

「あ、あれ、義丸さんまで……」

そこで、律儀にお早うございますと麻言が挨拶をしようとした時だ。
急に腹部に鈍痛がしだし、麻言はその場に蹲った。

「麻言っ!」
「おいっ!大丈夫か!?」
「~~っつう。ううっ、急にどうして……っ?」

慌てて駆け寄る鬼蜘蛛丸、義丸は、気遣うように傍らに跪く。

「お前昨日のこと……っ、覚えてないのか?」

戸惑いの交じる義丸の声。
昨日のこと、と口に出して麻言は思い出した。
そうだ、山賊に襲われたんだ。
でも、だったら、何で普通に家で寝てたんだろう?
疑問は次々出て来るが、痛みに思考を中断させられた。

「馬鹿っ!走ったりしたからだろうっ」

そう言うと、義丸が麻言の身体をそっと持ち上げる。
所謂お姫様抱っこの体制だった。

「鬼蜘蛛丸っ。俺はこいつを部屋まで送ってくる。後任せたぜ」
「あ、ああ!解った」

一瞬何か言いたげであったが、鬼蜘蛛丸が了承すると義丸は麻言を抱えたまま炊事場を後にした。

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