【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】
「お前らの考えも解らんでもない。仲間に秘密を作るなんざ、俺だって正直気分は良くねえ。
……だがな、問題はその話を受け止める麻言の事だ」
「ど、どういう事ですか?」
「航。人にはな、物事を精神的に受け止めきれねえ奴もいるんだ。そんで、麻言は記憶喪失だ。誰だってそうだが、麻言の心は見えねえ。だが自分の事が解らなくて正直不安を抱えてるだろう」
もしかしたら、思っているよりも沢山苦しい気持ちを。
そして、今日起きた不可解な出来事。
麻言には何も聞かなかったが、きっと忍術学園でも何か起きたのだろうと第三協栄丸は考えていた。
「――だから、俺達で守ってやらにゃあならんっ」
決意を込めて第三協栄丸がそう言うと、兵庫水軍達を見渡した。
「解ってる。黙ってても、麻言があの刀を所有している限りいずれは自分で全て知る事になるだろう。でも、あいつにこれから何があっても俺達だけは仲間でいて、あいつを支えてやりたいんだ」
皆はその言葉に胸を打たれたように、第三協栄丸を見ていた。
その場にいた全員同じ気持ちだったからだ。
あの優しくて、他人思いの娘を守ってやりたいと。
「頼む、皆」
「お頭っ」
「頭を上げて下さい。お頭……!」
急に頭を下げた第三協栄丸に、由良四郎と鬼蜘蛛丸が止めに入る。
その光景を皆眉尻を下げて見ていた。
「お頭っ、私達もおんなじ気持ちです。
と、いいますか、今更麻言の事を仲間じゃないなんていう奴がこの中にいるとお思いで?」
皆を代表するように、にやりと笑って言ったのは義丸だった。
そして。