【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】
麻言を部屋へ寝かしつけに行った後、第三協栄丸は重と共に水軍館へ現れた。
「すまんな、皆待たせちまって……」
「いえいえ、お気になさらず」
「お頭、あの麻言は……?」
由良四郎の返事の後、心配そうに聞いてきたのは網問だ。
「大丈夫だ、大した傷はない。命に別状はねぇからよ。ただ、山賊のやろぅに腹を強く蹴られてな。それで気絶しちまったんだ」
「山賊の野郎……女相手に何しやがんだ……」
それを聞くと、聞いた本人の網問だけでなく間切に航、重に東南風も悔しさと怒りがこもった表情で俯いた。
「……それについては今から順を追って話そうと思う。忍術学園であった事も含めてな。
――後これについてもだ」
そう言って皆の前に見えるように掲げたのは、麻言の刀だった。すると、舳丸が目を見張る。
「お頭……っ!その刀……っ。やはりお頭達の元に……っ!!」
「――っ!舳丸っ、……お前まさか何か知ってるのか?」
驚き問いかける、第三協栄丸に舳丸は「はいっ」と返事を返す。
周囲でそのやり取り見ていた兵庫水軍達は何の事か理解できず皆怪訝そうな顔をしていたが、第三協栄丸は気にせず神妙に頷くと。
「そうか、じゃあお前からも話してもらわにゃならんな」
そう言って、手元にある麻言の刀へ目を移した。
そしてまるで祈るように第三協栄丸は目を瞑ると
「……皆、俺が今から話す事をようく聞いててくれ」
言い聞かせる様にそう言った。
第三協栄丸自体も三郎から聞いて、信じられないような内容であったからだ。
だが、仲間には話せねばならない。と彼はそう判断した。
それは“これからの事”等も含めて。