【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】
麻言は身体中の痛みで、意識が朦朧としていた。
目前に迫る男が見えるが、ぼやけてまるで夢でも見ているかの様な錯覚を覚える。
頭の片隅でそういえばと思った。
今朝見た夢が結局何だったのか結局思い出せなかったなぁ。
次に浮かんだのが、兵庫水軍の面々。
皆そろそろ夕飯は食べているのかな。
鬼さん、御飯作るの久々なのに昼、夕まで任せちゃって申し訳ないなあ。
そして、ふと。
舳丸の顔が浮かんだ。
そういえば……、よく考えれば水軍の皆と仲良くなったと思っていたが舳丸さんとは
最初のあの日以来きちんと話せていなかった。
仲良くなれたら……良かったな。もっと。
それに、忍術学園の人とも―
点滅するような視界。目前の男の足が手前でぴたりと止まるのが見えた。
「――――――――っ!!」
遠くから雷蔵が何か叫んでいる様な気がしたが、
それは麻言の耳には届いていない。
かわりに。今彼女は別のものが聴こえていた。
初めて兵庫水軍の皆との邂逅の日。海の中で聴こえた。
ざわつくように響く――
蝉の聲。
風を切って男の刀は振り下ろされた。