【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】
「っちい……!ちょこまか、ちょこまかと逃げやがって!」
男は肩で息をすると、突如雷蔵がくつくつと笑いだした。
「な、何が可笑しいっ!?」
「くっくっ、いやあね。良い感じに動き回ってくれたから、そろそろ毒が効いくるかなぁって」
「ど、どどど毒だってっ!?」
ぎょっとした様に男が叫んだ。
「さっきあんたに当てた手裏剣に毒を塗っててな。後からじわじわ効いてくるヤツをさ」
ニヤつく雷蔵とは正反対にサッと男の顔が青くなった。
そういえば、少し気持ちが悪くなってきたような気がしてきた。
「おやぁ、あんた顔色悪いけど大丈夫?」
「いいいい嫌だ、死にたくないっ!助けてくれっ」
すると男がその場で泣きながら懇願してきた。
それを見ていた雷蔵は懐から小袋を出し、笑顔で男の目前でちらつかせながら
「まあ、安心しなよ。ちゃあんと解毒薬は持ってるからさ」
「くっ、くれぇぇっ!」
「やるよっ。―ほらっ」
森の方へ放った。
慌ててそれを取りに行こうと、男は足を踏み込んだがその瞬間。
うわああああああっ!と悲鳴を上げて転げ落ちていったのだ。
「ちなみに毒を塗ったっつぅのは嘘ね」
雷蔵はそう言うと、口の端を吊り上げた。
その様子を第三協栄丸は横目で確認すると、
「さぁてっ、後はおめぇ等だけだぞっ!」
声を張り上げ、ニヤリと笑った。