【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】
「ったく、たった二人に五人とは……。盗賊っつうのは、本当っやる事がせこいねぇ」
呆れた様な声が聞こえた。
すると麻言と第三協栄丸の間に影が“降ってきた”のだ。
その見覚えのある姿に思わず麻言の目が見開かれる。
「――らっ、雷蔵君っ!」
麻言がそう叫ぶと、顔を向けた本人は不敵に笑った。
その仕草に、心なしか昼間に会った雷蔵とは雰囲気が違うような気がして、麻言は少し首を傾げる。
「き、君は忍術学園のっ!?一体どうして――」
「説明は後っ。それよりとっとと、こいつ等を片付けましょうっ!」
驚愕している第三協栄丸の声を遮り、言い終わらぬ内に雷蔵は片手に苦無を構えた。
戸惑いつつも、第三協栄丸も山賊達と向き直り再度刀を構える。
「えーと、麻言だっけ?あんたは“そこ”で隠れてなっ!
終わるまで動くんじゃないぞっ」
“そこ”と示した木の陰を麻言は振り返り見て、解ったと返事をし雷蔵の指示通りに動いた。
それにしても――
あの人、雷蔵君……なんだよねっ?
想起してみるものの、麻言は自身への物言いや口ぶりが
どちらかと言えば昼間に会った雷蔵とは正反対な気がしていた。
「――っらあ!!」
鍔迫り合いをしていた第三協栄丸は、そのまま力任せに押し込むと体制を崩した山賊はそのまま後ろにつんのめったまま歩いて行く。と。
あああぁぁぁっ!と情けない悲鳴を上げながら、木々生い茂る山道の斜面を転げ落ちていった。
一方雷蔵の方は、何度も斬りかかられるもそれを全て柳のように躱していた。
相手は先程雷蔵が手裏剣を当てた男だ。
しかし、雷蔵は避けるばかりで攻撃を仕掛ける様子はない。