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【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】

第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】



帰り道、第三協栄丸はずっと黙りこくっていた。
麻言もいつもは何かしら話しかけてくるが、俯いたまま何も話そうとしない。
ずっと、考え込んでいるようにも見える。
そして第三協栄丸も同じく。
胸中に様々な思いが巡っていた。

先程、忍術学園の者達に囲まれている麻言を見た時、第三協栄丸は初対面だった麻言へ言い募る兵庫水軍を連想したのだ。

――そして麻言は泣いていた。

傷ついたのだと第三協栄丸は思ったのだ。

……初めて会った時からずっと麻言は笑ってたけど、本当は……悲しくて悲しくて仕方なかったんじゃあねえかな。
この娘が実は知らず知らず泣いていたのではと考えると、第三協栄丸の胸が痛んだ。
今朝、忍術学園に向かっている最中、“人を見たら泥棒と思え”と言わんばかりに自身の人生経験等からこの世の常……、というのか理を話したのは第三協栄丸なりにこの記憶喪失のせいなのかとても優しく、人を疑わない麻言の為にと思ったからだった。
忍術学園の皆に顔合わせし麻言に色々学ばせるつもりでいたが、彼はそれがひどく浅はかな考えであったと悔いていたのだ。

それに、心のどっかで……麻言だったら、身に纏う空気や物が変わっていたって、記憶がなくったってきっと誰でも受け入れてくれるって思ってたんだろうなあ。

その結果こうやって、傷つけてしまったのにな。
第三協栄丸は、はあと大きく溜息をついた。
しかも、第三協栄丸は今から麻言に残念な報告をせねばならない。

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