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【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】

第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】



「――麻言さぁーんっ!!」

既に門から出て、麻言と第三協栄丸は帰路につきかけていた。
二人は半助の呼び声に気づき振り返る。

「土井先生っ。どうしたんですか?」

麻言の代わりに第三協栄丸が問いかけると「これを」と眼鏡を差し出してきたのだ。

「……あっ。僕の眼鏡……。わざわざ持ってきてくれたんですか?」

そう言いながら麻言は受け取ると、礼を言って頭を下げた。

「とんでもない……!――そして、本当にすみませんでしたっ。不快な思いをさせてしまって……っ!」

今度は半助が頭を下げた。麻言よりも更に深く。

「土井先生っ。あんたが悪いんじゃないから、気になさんな。
……俺はあの場に居たわけじゃねぇから、あんまどうこう言えないが、それだけは解るからよっ」
「お頭、半助さんは僕のこと庇ってくれてましたよ。
―それに、忍術学園の方も優しい人達でとても楽しかったです」

麻言はそう微笑みを浮かべていた。
それを聞いて思わず半助はがばっと頭を上げ、目を丸くしている。
同様に第三協栄丸も目を瞠っていたが、その顔をふと綻ばせる。

「そうか、良かったな……。じゃあ、そろそろ帰ろう。暗くなっちまうからな」
「はいっ。それでは、半助さんまた……っ!」

先に歩きだしていた第三協栄丸を小走りで追いかけながら、
麻言は笑顔で半助に手を降った。

「あ……っ!ど、どうかお気をつけてっ!」

慌ててそう声を掛けてすぐ半助は切ない顔になった。
そして二人の姿が見えなくなるまで、彼はその後姿を見送っていた。

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