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【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】

第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】



「―麻言っ」

呼ばれた本人だけでなく、皆が一斉に振り返ると。
その場に第三協栄丸が立っていた。
隣には伝蔵もいる。
第三協栄丸は涙を流し続ける麻言と目が合うと、一瞬怯んだ様に視線を逸しかけたが振り払うように視線を戻す。
そして。

「帰るか。疲れたろ?……小松田君、出門表出してくれ」

麻言に優しげに語りかけてから、秀作にそう促した。
「あ……。はい~」と戸惑いながら秀作は応じると駆け寄っていく。と。

「……あのぅ、麻言さんの分の名前もお願いできますか?」
「えっ、良いのか。学園長先生に怒られないかい?」
「学園長先生も傍で見ておられますので、大丈夫だと思います~」

小声でそう言ったのだ。
彼は事、入門表や出門表に対しての執着は凄く、普段この様な気遣いは見せないのだが今の麻言に対して何かできるだけの事をしてやりたかったのだろう。

「有難う」と笑って素直に礼を言うと、
第三協栄丸は出門表に手早く自身と麻言の二人分の名前を書いた。

「ほらっ、麻言~っ!行くぞ~っ!」
「あ、はい。お頭……!」

我に返ったように麻言は慌てて、涙を拭うと第三協栄丸の元へと駆けていく。

「あっ」
「ま、麻言さん……」

途中振り返ると、困ったような悲しげな顔で一年は組達は見ていた。
涙の後が残る顔で、麻言は精一杯に笑うと

「今日は本当に有難う。またね」

そう言うと、走って行ってしまった。
第三協栄丸と落ち合うと、二人は秀作に送られて門の方へと消えてゆく。
其時、はっと半助は気づく。
夏之丞が麻言の眼鏡を持ったままになっていたのだ。
半助はそれを慌てて引ったくると麻言の方へと駆け出す。
夏之丞はそんな半助に向かって何か言い掛けたが、すぐに黙ってしまった。
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