【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】
第十話「信頼と遭遇。それと、これからの事」
……貴方一体……、“何者”っなんですか?
目前の男の畏怖する眼差し。
その空気を感じ取り、周囲に居た皆も思わず麻言を見ていた。
ただ、単に見ただけの者がいれば、同一の空気を纏い見るもの。
または不思議なものでも見るかのように。
自分が何者か。
それは麻言が記憶を失った日から幾度となく自身へ問いかけてきた言葉。
自分は誰?何処から来たの?何故此処に居るの?
投げた言葉をいつも、自身の中にある見えない暗闇の中に放ってみるも返って来るどころかまるで底など無いように手応えがなく反響すらない。
自分はもしかしたら元々“虚で、空”なのかもしれないと麻言は何処かで感じていた。
しかし、この時畏怖の眼差しを受けて初めて別の可能性に
思い当たってしまった。
それを考えた瞬間。
麻言の瞳からはらはらと涙が伝い落ちていた。
「なっ……。麻言っ、さん……」
皆が狼狽する中一人半助が声を掛けようとしたが。