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【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】

第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】


「ご名答~。……ちなみに、これ全部『ただ穴が空いてるように見える』の?」
「うん、そうだけど。え、違うの?」

喜八郎の他、後ろにいた皆にも語りかけるが

「い、否。見えません。俺にはただの平地のようにしか」

そう言ったのは守一郎。続いて

「……俺もだ。学年は下だけど、喜八郎の作る罠は一流忍者並だからな」

他の五年も同様なのか、皆ただ静かに頷いている。
実は半助にも、口には出さないが学園長でさえも
喜八郎の罠は見破れない時もあるのだ。
今ここに落とし穴があると解っていても、
この地帯を歩けば一つは踏み抜くかもしれない。

「そっか……。変だなあ」

そう言って、麻言はおもむろに眼鏡を外しレンズを拭き始めた。
と。

「あれ?」

眼鏡を外したままの麻言が眉を顰める。
思わず、ゴシゴシと目をこすった。

「ど、どうしたんです?」

近くに居た守一郎が訊ねると

「穴が……なくなっちゃってる……」
『はいいいいいっ!!?』

とんでもないことを言い出した目の前の彼女に一同が混乱しだした。

「えっ、どういう事。さっきまであったのにっ」

麻言にも理解不能なのか呆然と景色を目にしている。

「えええっ。何どういう事なの麻言さんっ?」
「ってか、綾部先輩っ。罠はなくなってないんですよねっ?
そこにあるんですよね?」

皆が混乱する中、伊助が一応とばかりに作った本人に問いかけると「なくなってないなら、ある筈~」と言った。

「よし、じゃあちょっと失礼しますっ」

伊助がそう言って勢い良く飛び出した。
途端、すぐ手前の穴にはまり、頭から落ちる事となったのだ。

「うわあ、伊助っ。大丈夫か~っ!」

そう言いながら先輩の兵助が近づいて助け出した。

「……穴、あるじゃないですか」
「ありますねえ……。何で―」

眼鏡を掛けながら夏之丞にそう言いかけてピタリと麻言が止まった。

「今度はなに?」
「また穴が復活してます」
『ええええええええっ』

もうわけが解らなかった。
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