【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】
ピタリと途中で動きを止めると、後ろにいた麻言に「ちょっと、そっち向いてて」と喜八郎とは別方向に首を向けさせた。
最初は何をするのかと、しきりに目を閉じたり開いたりしていたがわりとすぐ「は~い。こっち向いて良いよ~」と喜八郎のお声が掛かった。
そして、もう少し先に進むように言われた。
すると。
麻言は自身の目に映り込んだ光景に。
「―わあ~。なにこれっ!穴だらけじゃないかっ」
驚きと感心するような叫びをあげる。と。
「……ふ~ん。麻言ちゃんには此処がそう『見える』んだね~」
喜八郎は何だか妙に納得いったという顔をしている。
初めて麻言は其時、喜八郎の別の表情を見た気がした。
「はあ、もう……!何なんだねいきなりっ」
そう言って後ろから付いてきた夏之丞に
「あ、そこ穴があるんで気をつけて下さいね。この辺りも穴だらけですから……」
麻言が注意を呼びかけるが、夏之丞は眉を顰めた。
「何言ってるんですか、穴なんて―」
「ねえ、麻言ちゃん。ちょっと聞きたいんだけど」
喜八郎に言葉を遮られ、夏之丞はがくりと肩を落とした。
「ここにある穴、いくつある?」
「え。……ちょっと待ってね」
そう言うと数を数え始めた。
いつの間にか他の全員も到着しており、皆緊張した眼差しでその麻言を見ていた。
「うん、十二個かな。多分間違いないと思う」
そう言って麻言は喜八郎へ振り向いた。と。