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【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】

第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】


「あの~っ」

半助の胸中の苦しみを開放するように、のんびりと声を上げたのは秀作だった。

「え~とぉ。ごめんなさい。皆さんが色々言ってるから言いそびれちゃったんですけど……」
「何だ、小松田君?話してみなさい」

夏之丞が何か言いかけたが、今まで黙っていた学園長がそう促した為やむなく黙った。

「ーそもそもぉ、何で麻言さんが悪い人なんですか~?」

その質問に学園長意外が意味が解らず眉を顰めた。

「あのねえ……。小松田君っ、今までの話し訊いてたのっ?」
「はい~。聞いてましたよ。それに、何度も話してくれたお陰で僕でも結構頭に入りました~」

ほわわんと笑ってそう言う秀作に夏之丞は苛ついた様な顔を見せるが、構わず「小松田君、続けて」と学園長が再び促す。

「あ、はい~。と、いいますか……。悪い人だったらきっと落とし穴があるって気付いてても、僕のこと助けてくれたりしないんじゃないかなあ……って」

そう言った途端。感の良い教師陣、忍たま上級生達は気付いた。

「麻言さん、僕が落ちそうなの気付いて慌てて来てくれたんですよ~。しかも、僕が落ちそうになったから僕のこと庇ってくれて……。自分が落ちるって解ってたのに」

そして、遅れて一年は組も気付く。
そうだ敵の間者や、忍者なら穴があると解っていても素知らぬふりをするだろう。
忍者の作った罠を見抜くのは素人の出来ることではないと自身で解っているからだ。
それなのに、彼女は自分の身を呈して秀作を守った。
そこですっくと立ち上がったのは、喜八郎だった。

「麻言ちゃん、ちょっと来てくれる~?」

そう呼びかけると、何処へ行くと言うこともなく歩き始める。

「お、おい、綾部っ!って、こらっ。君もっ!待ちなさいっ!」

呼びかける夏之丞の言葉を無視して、喜八郎はスタスタと行ってしまう。
最初は迷うように視線を彷徨わせていたが、
やがて麻言も立ち上がり喜八郎の後を追った。
そして、重い腰を上げると夏之丞も追いかける。

「俺達も行くか?」
「そうだな」

八左ヱ門が勘右衛門と兵助に訊ねると、勘右衛門はそう言って兵助は頷いた。
気がつけば、そこに居た皆喜八郎と麻言を追っている。

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