【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】
団蔵が声を上げようとしたが、それを半助が「よせっ」と小声で制す。
それに渋々団蔵は従った。
ふと横を見ると守一郎が俯きながら歯噛みしているのが見えた。
彼は夏之丞を慕っているが、今の言葉に内心腹を立てているのだろう。
しかし、黙って耐えている。
本当のところ一年は組も守一郎も麻言の事を庇って自分たちにも穴が見えていたと“嘘をつきたかった”のだが、ここは忍術学園。
いわゆるひとつの組織だ。
下手に嘘をついてもしもの事があれば、どうなるかこの幼い忍者のたまご達は知っているのだ。
「ふん……。はっきり聞きますけど、貴方忍者か間者なんでしょう?実を言うと」
「ちょ、ちょっと待って下さいよ安藤先生っ!この人は第三協栄丸さんのお仲間なんですよっ。何を根拠にそんな事―」
夏之丞の言葉に異議をとなえようとした半助だったが、それを夏之丞は手で制すと
「彼女も兵庫水軍と言ったって、入ったのはつい最近の事でしょう。それに、土井先生。兵庫水軍といえば忍術学園と友好関係がある事を敵のドクタケ忍者だって知ってるんですよ。それを利用してわざわざ兵庫水軍に入った……とは考えられませんか?」
「し、しかし、あの兵庫水軍の皆さんが認めたんですよっ。それに第三協栄丸さんだって信頼して―」
「それこそ、何の根拠がありますか。それに彼女こういうのは何ですけど、見た目は温厚そうな若い女性だ。それに記憶喪失だ、って言うんでしょ。何とも情を誘うじゃあ、ありませんか。だから、兵庫水軍の警戒も緩いだんじゃないです?」
「―なっ」
思わず半助は言葉に詰まった。
一理ある、とも思ってしまったのだ。
いくら信頼している兵庫水軍とはいえ、総大将の第三協栄丸があのように気のいい男なのだ。
それに彼らは情に厚い部分もある。
でも……だからと言って……。