【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】
「―あれっ?」
一年は組を追って麻言は掛けていたが
視界の隅に見慣れた装束の少年一団を認め、立ち止まった。
一年は組達だ。そして、その前には紫の装束を身に着けた少年が一人……
否、二人だ。もう一人は一団の真ん中でしゃがみ込み何やら叫んでいる。
「大丈夫か、喜三太っ!ほらっ、俺の手に掴まれ……っ!」
「あいたたっ。有難うございます、浜先輩~っ」
二人のくぐもった声にただ事ではない様子だと悟った麻言は「何かあったの?」と慌てて一団の中に加わると、皆がはっと振り向く。
「き、喜三太君っ!?どうしたの、そんなとこでっ」
喜三太の現状を見た途端、麻言は素っ頓狂な声を上げた。
彼は地面の中に居た。―正しくは大きな穴の中にだ。
勢いよく中にはまり落ちたのか、空を見上げながら倒れており、しかも身体は泥だらけで草木を大量にくっつけている。
すると、穴の中の喜三太は困ったように笑って
「えっへへ~。綾部先輩の作った落とし穴に落ちちゃったんです~」
「ただの落とし穴じゃありませ~ん。トシちゃん六〇八号~っ」
大様と喜三太へそう言い返したのは、紫装束の少年が一人綾部喜八郎。
そして穴に落ちた喜三太を見つつ、
「あ~あ。折角作ったところなのに、また新しいの掘らなきゃ」
と何食わぬ顔だ。
そんな彼を呆れたような顔で皆は見た。
「おいっ!そんな事言ってないで、お前も喜三太を引っ張り上げるの手伝えっ」
「あ、待って。僕が手伝うよ」