第5章 ついに始まる学校祭
発信した車には更に微妙な空気が流れていた。
「優里ちゃん、少し寝ててもらっていい?」
私がその言葉を理解する前に、口元に布を押し当てられ私は意識をなくしてしまった。
「…ゃん、ゆ、……優里ちゃん〜!」
頬をペチペチと私は目を覚ました。
なんだか少し頭が痛いが、とりあえず自分の状況を確認する。
内装的にどこかのビジネスホテルのようだ。
んで、またしても両手を頭上で縛られながら、私は寝ていたようだ。
「おはよ、優里ちゃんっ!さて、身体に異常は?」
ニコニコの嘘くさい笑顔でそう言ってきたので、私はなんとなく身体に意識を移す。
「…身体が、熱いです」
夏の暑いとかではなく、内側からジリジリと湧き出るような熱さだ。
そしてこの感覚を私は知ってる。
今回は媚薬を使ってくれたようだ。
「もう分かってるみたいだけど寝てる間に媚薬使ったから」
媚薬が入ってる可愛らしいデザインのボトルを真野さんが振った、と思ったらそれを飲み始めた。
口の端から少し垂れた媚薬が私の目鎖骨あたりに落ちてくる。
一体この男が何をしたいかわからない。
「優里ちゃん、ゲームしよう。どっちが我慢できなくなって相手にねだるか。
30分経つごとに1回分の媚薬を飲むこと。
俺が負けたら動画も消して金輪際近づかない。でも俺が勝ったら言うこと聞いてね」
「分かった、約束は守ってね」
私がそういうと真野さんはソファベッドに寝転がって深く息をしていた。
即効性の媚薬のようでとても体は熱いし、身体が疼く。
しかし負けるわけにもいかない。
しばらくの間耐えて、ソファベッドの方を見ると少し息を荒くしている真野さんがいた。
もうすぐ30分が経とうとしている。