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私は吉原のお姫様【R18】

第5章 ついに始まる学校祭


あぁ、そんな顔しないで。

頼りたくなっちゃう、涙が出てきちゃうから……。



「ー大丈夫だよ、由羅さんの店手伝ってくるだけだから」



ひらひらと手を振って私は斗真の顔を見ずに、座敷を出た。




せっかくさっきまで幸せだったのに、こうも簡単に奪われてしまうのか。


なんて思いつつ、私は車に向かった。





「お帰りなさい、シートベルトしてね〜」



車に入るなり、ドアをロックしていた。


私は大人しくシートベルトをして、窓に頭をつけて楽な体勢を取った。




「もう反抗も抵抗もしないの?」



「…面倒くさいんで、もういいです」



私がそういうと、真野さんは「ふーん」と言って車を発進させた。




「もう何しても受け入れてくれんの?」


「知りません、適当にしてます」




なんて素っ気なく答えて、先ほどの学祭の事を思い出していた。




何してんだろ…斗真のとこ行きたい…




「今、何考えてんの?恋する乙女の顔してるけど?」


「見間違いですよ、恋なんてしてませんから」




幸せを奪われた私は悲しみよりも怒りの方がずっと大きくてなんだかどうにでもなれって感じだ。




「吉原行ってくれません?宿泊研修代稼がなきゃなんですけど」



「俺をタクシー代わりに使わないでよ。
優里ちゃんはあくまで命令される側ですからね?」




相変わらずニヤニヤとした顔で鼻歌を歌いながら運転している真野さんを殴りたくなってきた。



「助け呼んでいいですか?」


「だめに決まってるでしょ!」



「人に電話していいですか?」


「だーめっ!!」



「窓開けていいですか?」



もうてきとうに質問して真野さんをイラつかせようとしていたら、遂にその時が来た。





「…優里ちゃん、あんまり大人をなめないでね?」



ちょうど信号で止まっていたため、真野さんの手が私の首に伸びた。



少し苦しいくらいの力を込めてきたが、私はその手を両手を引き剥がそうとした。




「別に…舐めてない。あんたが、大っ嫌いなだけ」


「その大っ嫌いな奴に犯されてお漏らししたのは誰だっけ?」



口角を上げて、手の力を強めてきた。


だんだん苦しくなり、意識が朦朧とする。



もうダメだ…と思った時に信号が青に変わった。




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