第5章 ついに始まる学校祭
「優里っ、斗真っ!待ってたよ〜!」
お店に着けばもうすでに盛り上がっていた。
「ごめんね、意外と時間かかっちゃってさ…」
私達が席に着くと、改めて乾杯をする。
「優里達のおかげで打ち上げすごい豪華だね〜〜!」
「来年も頼むぞ、お二人さん?」
なんて冗談めいたことを話しながら、飲み食いをする。
こういう風にクラスの人と放課後に集まって何かをするのは初めてなのでとても楽しい。
中学の時、何してたっけ…全然思い出せないや。
そんなどうでもいいことを考えたりしていた。
コンコンコン
「失礼します、お客様の中に齊藤 優里様はいらっしゃいますか?」
急に名前を呼ばれたので、焦りつつも手を挙げた。
「真野様という方が外で待ってますよ」
真野様…真野……あいつしかいない。
いったい何の用⁉︎ なんでここに⁉︎
なんで今なの⁉︎ 次は何をされるの⁉︎
「あの、お客様…?」
「どうしたの?優里?」
行かない、って選択をすれば怪しまれちゃうしなんだか雰囲気悪くするな。
「あ、ごめん。普段お世話になってる人だからちょっと行ってくるね」
そう言って私はお座敷を出て、外にへと向かった。
「あ、優里ちゃ〜ん!遅いぞ」
店の前に堂々と車を止め、私のことを待ち伏せしていたようだ。
「なんですか?あ、近寄らないでください」
こちらに来ようとしていたのでそれを止める。
自分でもゾッとするくらい低い声が出た。
「あれ?そんな態度取るの?なら、これ……どうしようかな」
そう言って私が映っているあの動画を携帯で見せてきた。
「いい加減自分の状況、分かって?
お前はもう逆らえないの!分かったら、車乗って?」
そう言って自分は車の中に入っていった。
弱みを握られるって本当に面倒だな…
「先に帰ること、伝えてきます」
「1分以内に戻ってこなかったらバラまくから」
私は小走りでお座敷に向かった。
「すみません。急用ができたので先に帰ります」
担任にそう告げて、私は荷物を持つ。
「ー優里っ、大丈夫か⁉︎」
出ていこうとした私の腕を不意に斗真は掴んできた。