第5章 ついに始まる学校祭
やっとお昼になり、休憩がてら受付を斗真とやる。
「やっぱしんどいなぁ〜、飲み物もう飲めない…」
「斗真、メイク崩れてるよ」
そう話しながら、私は斗真のメイクを直したり受付の仕事をしていた。
「齊藤 優里ちゃんはいますか?」
何処かからかそう聞こえたので私が顔を上げると由羅さんだった。
「由羅さ〜ん、こっちですよ!」
「誰か分からなかったわ、カッコいいわね〜」
「ありがとうございます、由羅さんは今仕事の休憩中ですか?」
由羅さんは長い髪を後ろで束ねて、スーツを着ていたので夜の人に見えない。
「そうよ、お昼はここで頂くわね」
私は斗真に言って、一度接客に戻る。
プロの由羅さんの前で、接客をするのはとても緊張したが褒めてくれた。
「うちの店に雇いたいくらいよ」
なんて話していると、あっという間に時間は過ぎる。
お昼休憩が終わるから、と言って由羅さんは帰って行った。
それからしばらく受付をしていたら、校内アナウンスがかかる。
『一般公開は残り、30分です!
14時からはお待ちかねのミス、ミスター如月コンテストです!』
「私達は10分前に移動しなきゃだから着替えるか」
受付を離れ、更衣室に入ると私の制服がなくなっていた。
「「誰か私の/俺の 制服知らない?」」
同じような声が隣からも聞こえたのでそちらを向くと斗真だった。
「あ、ごめん!さっき2人の制服に飲み物こぼしたから家庭科室の洗濯機だ!」
料理係の女の子が申し訳なさそうに謝ってきたので怒る気はないが、家庭科室に行く時間がない。
「これ着ててもらっていい?」
そう言って女の子が持ってきたのは由羅さんに借りたドレスだった。
まぁ、しょうがないか……。
そんなに派手なドレスではないので私は受け取り、着替える。
更衣室を出ると、その子がメイクまでしてくれた。
斗真は先に行ってしまったようなので、私も慌てて体育館へ向かった。
体育館へ行くと、参加者と生徒会役員がすでに集まっていた。
驚いたのは斗真も黒のタキシードを着ていたことだ。
2人して変に畏まった格好をしているのに、生徒会役員の人は誰も指摘しなかった。