第5章 ついに始まる学校祭
「もう大丈夫だから…遅くなってごめんな」
俺がそう言うと、パッと布団から飛び出した優里が直接俺に抱きついてきた。
「ありがとう…斗真っ……」
身体を小刻みに震わせている優里はなんだかいつもより小さく見えた。
会長の時の優里はハキハキしてて頼り甲斐のあるカッコいい人だから、こういう姿は初めて見た。
「優里、大丈夫か?…避妊薬は飲ませたから心配するな」
そう言いながら兄ちゃんは優里の分の晩ご飯を持ってきてくれた。
だいぶ落ち着いてきたようなので晩ご飯を食べさせる事にした。
優里side
「優里ちゃ〜ん、可愛いよぉ〜」
息を荒くした真野さんがこちらに手を伸ばしてくる。
嫌だ!…気持ち悪い……
「やめてっ……向こう行って…」
私は抵抗していると、急に身体に痛みが走った。
なんだ、夢か…ビックリした…
目の前は真野さんではなく、布団のようなものだった。
でも安心できるはずはない。
ここがどこかも分からないし、自分がどういう状況かも分からない。
もごもごと動くが焦っているためか抜け出せない。
すると足音が聞こえたと思ったら布団のを引っ張られた。
「や、だっ!こないで…触らないでっ…」
私は今までとは逆に布団の中に包まっていると、斗真だと名乗る。
確かに声が斗真と同じだったので私は動きを止めた。
落ち着くとこの布団も斗真と同じ匂いがする。
隙間から手を出すと暖かい手が握ってくれた。
斗真だ……助けてくれたんだ……
思わず布団から出て斗真に抱きつく。
本当に斗真だ……よかった……
蒼茉さんもいるみたいでピルを飲ませてくれたことを教えてくれた。
落ち着いてくると身体が痛いのに気づいてしまった。
「ご飯食べるか…?あ、身体痛い?」
私が床から起き上がれないのに気付き、抱っこしてベットに座らせてくれた。
腰や背中は痛いし、手首や足首には縄の跡がくっきりと残っている。
恐らくだかピルの副作用のせいでものすごく吐き気とだるさがすごい。