第5章 ついに始まる学校祭
「まぁな。斗真はどう思ってる?」
「俺は…優里の事が好きだから他の奴に触れられたくない。でも優里は俺のものじゃないから…」
さっきだって俺の名前を呼んでくれた時ものすごく胸が痛んだし、好きな人があんなことされてるのに何も出来ないことに腹が立った。
「なら自分のものにしたらいいじゃん!少なからず斗真に好意寄せてるんじゃない?お化け屋敷一緒に行ってたしね」
再びニヤニヤして、俺を突いてくる。
まさか見られてたとは…。
「まいったな〜。ま、可愛い弟の為なら譲るしかないか」
そう言いながら兄ちゃんは俺の食器もキッチンに持っていってくれた。
「ん?譲る……?は、待って!!」
俺は慌ててキッチンに向かうと兄ちゃんは真面目な顔してこう言った。
「俺も優里ちゃん好きなんだけど?モタモタしてたら奪うから」
「マジかよおおおおお!!!」
そのままソファに倒れてしまった。
キッチンでは兄ちゃんがケラケラ笑っている。
「いやいやいや、優里は未成年で兄ちゃんは20過ぎだから付き合ったら援交にしか見えない!」
「歳なんてかんけーなーい!」
まさかこんな近くにライバルがいたなんて……。
「ま、俺なりに考えたんだけど優里はこの家で暮らした方がいいと思う。
家賃分は浮くから少し負担は減るだろ?」
俺もそれにはもちろん、賛成だ。
「俺らが優里ちゃんを支えるしないんじゃない?この先どうなっても……」
兄ちゃんがそう言った時、俺の部屋からなにか物音がした。
慌てて向かうと、ベッドから布団も優里といなくなっている。
「えっ、ちょ、優里⁉︎⁉︎」
ベッドを回り込むと布団がからまって優里がジタバタしている。
俺は布団を取ってやろうとした。
「や、だっ!こないで…触らないでっ…」
「優里っ…俺だ、斗真だ……」
布団ごと抱きしめてやると、ジタバタするのをやめた。
少しすると布団の隙間から小さな細い手が出てきたので握ってあげる。