第4章 彼の正体
それからみんなお風呂を上がり、今はテレビゲームで盛り上がっている。
私自身持ってないし、友達の家でもやったことないので操作とかは下手くそだけどそれもまた面白い。
そんな中で私の携帯が鳴った。
「もしもし…あっ、由羅さん!!」
夜の仕事の話を聞かれてはまずいので私は廊下に出る。
「ちょっと優里!大丈夫なの?顔出さないから心配しちゃった!」
「すみません、大丈夫です!今日は体の調子が悪かったので、お仕事はおやすみです」
「あら、お大事に。今度控えてる宿泊研修とかに十数万かかかるんでしょう?」
これが私が抱える最近の悩みかもしれない。
十数万円なんて、私の1ヶ月の食費等と学費を合わせたくらいの金額だ。
「そうなんです、少しでも稼がなきゃなのに…」
明日は学校祭だというのになんだか気分が憂鬱になってきてしまった。
「援交の金額って普通はどれくらいなんだろう?」
「さぁ、でもあなたは安く売りすぎよ?
最低5万にしちゃえば?サービスも大変になるけど」
「ですね、由羅さん今度テクニック教えてください」
と話していた時、ガチャと扉の音がした。
すぐに振り返ったがどこの扉も開いた気はしなかった。
「おーい、どうしたのー?」
と言う由羅さんに言い訳をしつつ私は急いで電話を切り、リビングへ戻った。
2人ともテレビゲームをしてるところ、
扉の出入りはしてないのかもしれない。
私が安堵していた時だった。
「ー斗真、優里帰ってきてんだからトイレ行ったらどうだ?」
トイレしようと廊下に出て、私が通話しててリビングに戻ったならまだ良い。
でも話を聞かれていたらまずい。
「う、うん!そうするよ…」
なんだか斗真もぎごちない気がしたが、
真実を知れるわけもなくモヤモヤしたまま過ごした。