第4章 彼の正体
それからもゲームなどで盛り上がっていたが22時になり、寝ようということになった。
どうしよ、斗真と2人っきりだ…
そう思っていると2Fの部屋にへと案内された。
「うわっ、広いなぁ。すごい本の数だねぇ」
男の人の部屋はこんなにも綺麗なのかと思ってしまった。
整理された本棚をよく見るとほとんどが参考書や辞典だった。
「まぁね…俺は床で寝るからベッドで寝ていいよ」
「やだっ!私が床!君はベッド!」
私は間髪入れず拒否すると斗真は唸っていた。
結局、2人ともなぜか床で寝ることになった。
すこし離れ気味に敷いた布団で私たちはそれぞれ入り、斗真が電気を消してくれた。
まぁ、とにかくものすごく気まずい。
斗真だって同じ気持ちのはずだからこんな気持ちで学校祭を迎えたくない。
だとしたら、すべきことは1つ。
「ー斗真、さっきの電話…聞いてたしょ?」
私はもうどうにでもなれという気持ちで聞いてしまった。
「…うん、ごめん」
帰ってきた返事は予想通りだった。
「学校には内緒にしてくれる?学費が払えなくて…」
「分かってる、言ったりなんかしないよ」
そう言った斗真は何かを決めたように、フーッと息をついた。
「俺はまだ養われてる身だからお金とか出せないけど、相談とか乗るから…あんま1人で抱え込むなよ」
「斗真……ありがとう」
そんなことやめろ、と言われることを覚悟したが彼は違った。
彼はとても優しいし、無責任なことを言わないいい人だと心から思った。
だから、こんなことを聞いたのかもしれない。
「私のこと、汚いと思った…?」
恐る恐る聞いたその質問に対する答えは暗闇からまばゆい光が照らされた気がした。
「ー何言ってんの?優里は綺麗だよ!体も心も!」
そう言ってから斗真は「おやすみ」と言ってきた。
私も心から斗真に感謝して眠りについた。