第4章 彼の正体
「優里、もうすぐでご飯だけど先にお風呂はいる?一番風呂だよ!」
斗真も蒼茉さんも先に入るよう促して来たので、私は着替えを持ってお風呂に行った。
私がお風呂を上がり再びリビングへ戻ったらもう晩ごはんは出来たようで、2人してテレビゲームをしていた。
「おかえり、ちょっと待ってね!」
「すごーく大事なものをかけた勝負なの!」
そう言って格闘ゲームが映し出された画面では2人のキャラクターが激しい戦闘を行っていた。
「ーよっしゃぁぁぁぁっ!」
しばらくして誇るように立ち上がったのは斗真だった。
一方で蒼茉さんは放心状態のようだ。
「何を賭けてたんですか?」
「優里を俺か兄ちゃんの部屋のどっちで寝かすか、を決めてた!」
「へー」……とはならないぞっ!!
部屋数はたくさんあるって言ってたくせに、結局同室かいっ!!
とは思ったが斗真の喜びを無下にしたくないので、黙っておいた。
それから上機嫌の斗真と不服そうな蒼茉さんとで晩ごはんを頂いた後に、蒼さん茉さんはお風呂に入った。
「あ、これ!明日のホストの服ね!
ちょっと着てみなよ!」
そう言われ、渡された紙袋を持って他の部屋で着替えてくる。
中には黒いスーツにカツラなどいろいろ入っていたので全て装着する。
スーツの袖が長かったのでYシャツごとまくり、茶髪のカツラをかぶる。
カツラがなんだかチャラかったのでネクタイは締めないことにした。
「お待たせしましたぁ〜」
私が部屋を出て、斗真に見せるとものすごく爆笑された。
「やばいwすっごいイケメンだ〜!w」
お腹を抱えてそこら中を転がり回ってる。
鏡を見ると、自分で言うのもなんだが
意外と女の自分よりいい感じだ。
「オレンジジュース入りましたぁ!」
なんてノリノリで騒いでいると、斗真が何かを思いつき、慌て始めた。
「優里っ!こっちのカツラつけて!これもして!」
斗真が私にいろいろ渡してきたので、私がそれを付け替えてる間斗真は私にネクタイをしててくれた。
最後にスーツの腕まくりをなくして完成だ。