第4章 彼の正体
反応のない蒼茉さんを横目でチラッと見ると、私の方を切なそうな目で見ていた。
目が合ってしまい、目をそらすことができなくなる。
「優里……」
蒼茉さんが私の名前を呼んだ瞬間に距離は一気に縮まり、唇が重なった。
すぐに唇は離れ、私は切なくなる。
唇を重ねるだけのキスになんだか物足りなく感じてしまい、蒼茉さんを見つめる。
「そんな目で見ないでよ…押し倒したいの我慢してるんだから」
「我慢、しないでくださいっ。…体は大丈夫ですから」
私がそう言うと、蒼茉さんは私をお姫様抱っこでソファから持ち上げた。
「お言葉に甘えますね?寝室に行こうか…」
と言って、蒼茉さんの部屋と思われる部屋のベットに優しく下された。
すごく大きなベットはとてもふわふわで蒼茉さんみたいに白かった。
蒼茉さんも私を挟むように手をつく形でベットに登る。
「痛かったら教えてね…?」
そう言うと優しくも先程とは違い、彼の舌が私の舌と絡まるキスだった。
唇が離れ、とても長いキスだった不思議と息が苦しくない。
「ごめん、俺止まんないかも…」
はぁ、と息を漏らした蒼茉さんが次はいつの日かと同じように激しくて濃厚なキスが降ってきた。
息継ぎも涎も上手く飲み込むことができず息は荒くなり、涎が口の端から垂れる。
「離れたくない」という私たちの気持ちを表すような、舌が意志を持って絡み合うようなそんな激しいキス。