第4章 彼の正体
優里side
素直に言葉を言うとこんなにも恥ずかしいのかとも思いつつ、布団を被る。
見えなくても、なんとなく微笑んでるであろう斗真がすぐそばにいると思った。
それから少ししてから病室のドアが開く音がした。
私が布団から顔を出すと、眉毛を八の字にした担任だった。
「ー齊藤っ!!起きたのか!体は?痛いところは?俺の名前は言えるか?」
肩を鷲掴みにされ、血走ったような今にも飛び出しそうな目で問いかけてくる。
「先生っ、そんないっぺんに話しかけたら何から答えていいかわからないですよ?」
そういう斗真も私にいっぺんに話しかけてきたのをお忘れだろうか。
「ご心配おかけしてすみません。少し体は痛みますが大丈夫ですよ!」
私がそういうと、先生は長い安堵のため息をつき見たことのない笑顔を見せた。
「あの…お入りしていいですか?」
そんな時に不意に聞こえた声に先生は慌てて許可をした。
こんな時間にだれだろうか、とも思い覗き込むように入り口を見る。
「起きたようで…良かったですね!!心配しましたよ」
爽やかな声でそう言いながら入ってきたスーツを着こなした男の人、それは
「兄ちゃんっ⁉︎」「蒼茉さんっ⁉︎」
斗真のお兄さんである蒼茉さんが私が寝ているベッドのそばまでやってきた。
「優里ちゃん、大丈夫?さっき中川先生に聞いたから駆けつけちゃったよ…」
少しだけ乱れた髪を直している様子は本当に慌ててきたようだった。
それと担任の名が中川だと思い出した。
「蒼茉さんにまで…ご心配おかけしました!」
私が深々と頭を下げると、私の手を取り安心させてくれた。
「兄ちゃんっ、俺今日は帰らないから!」
「分かってる…先生は疲れているでしょうしお帰りになってください。私が斗真と彼女を見てますから」
担任、中川先生は最初は断っていたが相当疲れていたのだろう「お大事にな!」と言って帰っていった。