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私は吉原のお姫様【R18】

第4章 彼の正体


彼女はキョロキョロした後、自分の服装を見て病院服なのに気づく。


「病院だよ、さっきまでのこと覚えてる?」


「….…落ちた」


言葉は少ないが覚えてるようで安心だ。


「頭を何針かと、何カ所か打撲したみたい。担任は今電話してる」


そう言うと何を考えてるか分からない表情で黙って、俯いている。


なんとなく静かにしていなくちゃいけない気もして黙っていると、いきなり俺の方を見て、話し始めた。


「明日のリハは全部斗真に任せるね、私は明日はしっかり休んで明後日に備えるから!!」


しばし呆然としてしまう。今俺に任せる……と言った。

しっかり者の彼女に頼まれるとは嬉しすぎる。信頼されていることがはっきりと分かった。


「ーおうっ!任せろっ!」


そう言うと彼女はニコッと微笑んで明日の流れを教えてきたので全てメモをした。


「こんなもんかな〜……いてて…」


そんな時に頭を縫ったところ、痛がる仕草をした。


「あっ、無理しないで!寝てて!もうすぐで担任もくるだろうし」


急いで支えながら彼女を寝かすと、恥ずかしそうに布団で顔の半分以上を隠した。

不思議そうに俺が見てると、小さな声で


「人にこうやって弱い姿見せること、あんまりしたことないから恥ずかしい…」


そう言った後に顔の全部を布団で隠していた。


俺も慌てて顔を隠すように下を向いた。今のは可愛すぎだと思う。

しっかり者で、頭も良くて、運動もできて、頼ったり甘えたりするのが下手くそだけど、世界一可愛い。


こんな齊藤 優里を俺は好きになった。
本当に、本当に大好きなんだ。


でも今は隠していたい。学校祭を控えてる彼女も俺も今は余裕がない。

だからまだ友達以上、恋人未満だ。



「たくさん甘えていいよ!頼りないかもだけど頑張るから…ね?優里!」


恥ずかしいけどでも伝えたい気持ちは
全部言えた。

ゴソソッと布団から顔を出した彼女は
顔を赤くしてコクっと頷いた。

本当に天使だと思った。


担任が戻ってきたのはこのやりとりの3分後くらいであった。


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