第4章 彼の正体
痛いところは?などと聞かれて答えていたがだんだん意識が遠のくのを感じた。
最後に見たものと聞いたものは心配そうにしている担任と斗真。
そしてもうすぐで救急車が来るということだった。
斗真side
意識をなくした会長に付き添い、病院へと向かった。
すぐに手術となった彼女はオペ室と呼ばれるところに運ばれたので、部屋の前にある椅子に担任と共に座っている。
看護師の方は簡単な手術をしているだけだ、と言っていたが心配に変わりはない。
運ばれてから90分程経ったころに
オペ室から彼女は出てきた。
「先生っ!齊藤は大丈夫ですかっ!」
と、ドラマで見るようなあのシーンを完璧に再現してくれた担任は切羽詰まってるようだ。
「大丈夫ですよ。頭を何針か縫っただけです。あとは打撲が何箇所か……。
意識をなくしたのではなく、眠っているだけでした。では」
一礼をして、医者は看護師を連れてその場を後にした。
今、小さな病室のベッドでスースーと寝息を立てて、彼女は眠っている。
「もう19時だ、お前は帰れ」
担任が俺にそう言ってきたが、今帰ったところで勉強に集中出来るはずがない。
返事をせず、彼女を見つめたまま動かないでいると察したのか「電話してくる」と言って先生は部屋を出て行った。
眠っているだけとは言え、彼女を運んでる時にあんな弱々しい声を出されたら心配するしかない。
「会長……寝すぎだぞ、起きろ!」
ペチペチと頬を叩いたが反応がなかった。しかし、「んっ…」と言って頭を動かした様子を見て少し安心した。
それから1分ほど経った時に彼女はいきなり目をぱちっと開かせた。
「会長っ⁇起きた?体は?大丈夫?」
いきなりすぎたので焦って聞きたいことがすべて口から出た。
「と、うま…?ここは…」