第4章 彼の正体
「お疲れさま!今日する事は何?」
「2日後に迫った学祭だけど、今日で準備は終わらせる!んで、明日はリハーサルね!」
黒板に綺麗な文字をカツカツと書いていく。
・早食い競争のパンを紐に吊るす。(50)
・ミスター、ミス如月の王冠などを地下から取ってくる
「こんなものじゃない?じゃあ私は地下に行ってくるから。パンよろしく」
そう言って彼女は手についたチョークの粉をパンパンとほろいながら行こうとする。
「待って!あそこ1人で行くのは危険じゃない?俺も……」
そこまで言った時に彼女は振り返ってこう言った。
「君を信用してるから行くの!
2人で行って閉じ込められたらどうするの?私だけ閉じ込められても君が助けに来てくれるでしょ?」
あたかも正論!といった様子で彼女は生徒会室の扉をひねった。
「待ってるよ、王子様〜〜!」
最後にそう言いひらひらと手を振って彼女は出て行った。
時刻を確認し、30分経っても戻らなかったら行こうと決めて作業に取り掛かる。
続々とくる生徒会役員と挨拶を交わしながらパンにフックをつけてさらに紐をつける、という地味な作業を繰り返す。
「会長はどこに行ったんですか?」
「地下だよ、物を取りに行った!」
俺がそう言うと1人の役員が青ざめた顔をして声を漏らした。
「今、地下室の扉のある倉庫は足場が脆くて工事中ですよ?今行ったら床が抜けて……大変っ!!」
「確か地下室には家庭科でつかう刃物や危険な物が保管してある……」
みんな席を立ち、俺を先頭に一目散に倉庫へと向かう。
会長が怪我をしてたらどうしよう…!
そう考えながら、急いで向かった。