第4章 彼の正体
学校へ着くと教室へは寄らずに生徒会室へと向かった。
昨日作業しっぱなしだったため絵の具などが散乱してるが、ある意味作業にかかりやすかった。
すぐにスローガンの垂れ幕の色ぬりの作業かかる。
制服に絵の具が付かないようにエプロンをして、丁寧に塗る。
今年は『千花繚乱~咲き乱れろ、俺たちの努力~』というちょっと寒いスローガンだ。
まぁ、気に入ってたりもするが……。
デザインは美術部長に頼み、下書きまでしてもらったからあとは塗るだけなのだが細かすぎて作業が進んでいない。
それでも誰かがやるしかないので、
私は黙々とやり続けた。
斗真side
いつも通り8時に登校した俺は友達と話しながら授業が始まるのを待った。
朝のホームルームではいつも通り隣の席の【会長】がいないことを言い、遅刻を確認する。
毎日遅刻をするが、先生たちのお気に入りである彼女が羨ましかったりもする。
そんなこんなで3時間目が終了した。
なのに彼女が来る気配がない。
いつもはホームルームが終わるくらいか、遅くても1、2時間目までには来ている。
風邪かな…と心配してたら4時間目が始まった。
ガララッ
少しウトウトしていたら急に教室の扉が開き、息切れが聞こえた。
「齊藤っ!お前また遅刻かっ!」
と懲りなく、最早恒例となった担任の怒りを無視して遅刻届を教壇に置いていた。
「やばい、寝てた…結局遅刻だよっ!」
なんて訳がわからないことを言いながら、席に着く。
「おはよ!」と挨拶をしようとしたら彼女は「ぁ…」と小さく声を漏らした。
「どうしたの?何か忘れた?」
俺が聞くと彼女は「全部」と言ったので
もう一度聞き直した。
「カバンを置いてきてしまった……」
静かな教室全体に聞こえた言葉は先生をキレさすのには充分だった。
「齊藤ぉぉ!お前は何をしに学校来とるんだぁぁぁ⁉︎」
「これは不可抗力だぁぁぁぁ!」
なんて答えになってないような叫びを返した後、彼女は机に伏せていた。
そしてすぐに寝息が聞こえた。
「齊藤っ!おきろぉぉぉ!」
なんていう怒りは彼女の寝息を止めることはできなかった。