第4章 彼の正体
秋吾さんが私に背を向ける姿勢になり、
私はその背中にくっつく。
とても、とても暖かい。
「ありがとう、秋吾さん。おやすみなさい」
「…うん、おやすみ」
私は安心と温もりを得て、深い眠りについた。
トントントン、ジュッー、
朝から心地の良い音がする。
包丁がまな板を叩く音に、何かが焼ける音がして香ばしい匂いが香る。
優しい朝日が私を照らし、とても心地よく目を覚ました。
私は布団から抜け出すと、エプロン姿の秋吾さんはキッチンに立っていた。
「ーんっ、おはよう!寝れた?」
秋吾さんは起きた私にいち早く気づき、
眩しい笑顔で挨拶をしてきた。
「おはようございます、おかげさまで!」
「朝ごはん食べたら、お家向うから!
あと10分くらい待ってね!」
私は返事をして軽く伸びをしてからソファに座った。
いつぶりだろう、朝に1人じゃ無いことは。それにこんなに早く起きたのも。
ただいまの時刻はAM6時30分。
いつもならまだ寝ているだ。
私は楽しそうに料理をしている秋吾さんを眺めていたら、料理が運ばれた。
ご飯にお味噌汁、それにベーコンと目玉焼きという豪華さだった。
「これ食べていいんですか⁉︎本当にいいんですか⁉︎」
久しぶりのちゃんとした料理に興奮気味に私は聞く。
「いただきますっ!」
前のめり気味に箸でもぐもぐと味わって食べる。
「ー美味しいっ!!すごく!秋吾さん天才ですねっ!」
私は思ったままのことを言うと、秋吾さんは私にお礼を言ってきて自分も食べ始めた。
「「ごちそうさまでしたっ」」
食べ終えて、私は皿洗いを引き受けたので先ほどとは真逆の立ち位置である。
ソファに座ってる秋吾さんはしみじみとした様子で話す。
「結婚したらこんなんなのかなぁ、幸せだわぁ〜」
なんてすっかり筒抜けてる。
助けに来てくれた勇ましい時とは180度違うところがなんとも可愛らしい。
「さて、仕事行く準備するか〜!終わったらソファで待っててね!着替えてくる!」
そう言って秋吾さんは向こうの部屋へ行った。