第4章 彼の正体
「えっと服探したんだけど見当たらないから、とりあえずこのシャツ着ててね」
秋吾さんは自分のバックから替え用と思われる新しいYシャツをくれたので、
汚らわしい下着を脱ぎ捨てシャツになる。
「俺はホテルの売店で服買ってくるから…こいつを連れて」
そう言って彼は真野さんを抱え、一度部屋を出て行った。
その隙に一度私はシャワーを浴びて、
またYシャツを着た頃にちょうど秋吾さんは戻ってきた。
「参ったな、店の人に女物ばっかり買ったから変な目で見られたよ」
なんて笑いながら、私に服を渡してくる。
「すみません、ありがとうございます」
それを受けとり、脱衣所にて着替えた。
下着まで買ってくれてたので少々恥ずかしく感じたが、下着そのものがとても女の子らしくて可愛い。
服も動きやすいようにショーパンとTシャツとパーカーだった。
「あ、パーカー無くしちゃったな…」
私は着替え終わり、最初に謝った。
「全然いいよ!もともと齊藤さんにあげたものだったしね!」
彼はそう言いながら、自分の身なりを整えていた。
「ーそういえばどうしてここに?」
私はハッと思い出して気になったことを聞く。
「たまたまホテルに連れてかれる所を見たんだけど、なかなか部屋を見つけられなくて時間かかっちゃった」
そう言いながら眉毛を8の字にして分かりやすくしゅん、としていた。
どうやら彼は喜怒哀楽が顔に出やすいようでなんだか可愛い。
「2回も助けてくれてありがとうございましたっ…あ、服代返しますっ!」
私は財布を取り出すためにバッグを探す。
「あ、服と一緒に消えちゃった…」
バッグの中には定期券や携帯に財布、生徒手帳も入ってる。