第4章 彼の正体
無事に吉原に着いたので由羅さんの店による。
「その男の人やさし〜わねぇ、私にもそんな王子様こないかしら」
なんて言うもんだから爆笑してしまった。
それからいつものようにお互いの健闘を祈り、別れた。
そしていつもの時間となる。
今日はベンチで座ってお客様を待っていた。
「ーっ??んー、んんー!!」
そんな時に口を後ろからハンカチが何かで抑えられた。
香った薬の匂いで睡眠薬と気づいたが、抗おうとした時に思いっきり息を吸ってしまい意識が離れていった。
「ーは…はぁ、ゆ……り、私の優里〜!早く起きてくれよぉ〜」
顔にお酒の匂いのする息がかかり私は眠りから目を覚ました。
聞こえた言葉から私は目を開けることを
避けて、自分の身に何が起きてるかを整理する。
私は睡眠薬を吸い込み、意識をなくす。
そして、今は(恐らく)拉致られてる⁇
とにかく目を開かぬことに状況は分からないので、恐る恐る開ける。
まだボヤーッとした視界にはオレンジ色の暖かい光、そして鼻息の荒い男の人。
「あっ、起きた?優里ちゃーん!」
どこかで聞いたこの声、少しずつ覚醒しつつ意識が肌寒いのを感じる。
無意識に伸ばしていた手をゴツゴツとした手を握れた。
「ーひゃっ!」
その感触で俊敏に意識は戻り、私の視界はやっと開けた。
目の前には…
「ま、真野さん…あなた、何してるんですか!」
真野さんというのは、何度か相手する中で乱暴だし、私の個人情報を聞き出したり、行為中に写真を撮ろうとしたり…
まぁ、他にもいろいろやってくれたわけでルールを違反した罰として【縁切り】をさせてもらった。
縁切りというのは金輪際、相手をしないということだ。
「優里ちゃん、私のこと相手してくれないから寂しくて…つい」
「ついじゃないですっっ!!…ぇっっ!」
私はホテルと思われる部屋を出ようと
布団から出ると思わず自分の姿にびっくりした。
制服は着ておらず、下着姿だった。
しかも私が来ていた下着ではなく、
布面積が少ない、いやほぼない下着だった。