第4章 彼の正体
最初はお尻を撫でてきただけだったのに、その手つきはだんだんイヤラしくなる。
想像していた通り、手は前の方を触り始めた。
割れ目を撫でてると思ったら、すぐにその手はクリへと移動した。
優しく円を描くように触られ、少ししたら強くこすられた。
「ぁんっ…!コ、コホン///」
うっかり声を出してしまい、慌てて誤魔化す。チラッと前の人や周りを見ても声に気づいた人はいないようだ。
いや、1人だけいた。痴漢している人だ。
私がクリが弱いことが分かり、とにかくそこを責めてくる。
だめ、イッちゃいそう…
私は耐えるために、身体を捻る。
でもそれが悪かった。指もスライドしクリを強く刺激した。
「ーはぁぁんっ///」
それが一撃となり、私は声をあげてイッてしまった。
しかし、それと同時に電車は激しく揺れ電車の騒音と乗客の悲鳴がそれをかき消してくれた。
しかし私は立っていられなくなって前かがみになり、窓に両手を着いてしまった。
しかも前の男性を両手で挟む形で。
いわゆる『壁ドン』である。
「す、すみません……」
慌てて謝るが、痴漢の手は止まらず体制を立ち直せない。
「い、いえ!大丈夫です。………どうかされました⁇」
私が体制を直さないことに対して疑問を抱いたようだ。
言おうかどうか迷っていたがこのまま吉原まで声を抑える事は出来ないので私は打ちあける決心をした。
ちょうど壁ドンのせいで、彼の顔が私の顔の近くにあるのだ。
「あの、痴漢が…」
私が耳元で呟くと、彼は驚いた顔をしたがすぐに真面目な顔になる。
「具合悪いのですか?お座りください!」
彼は普通より少しだけ大きい声で言って、周りに私が具合悪いアピールをしてくれる。
すると自然と私達に目線は集まるので、痴漢は行為をやめなければならない。
そのまま彼は私を席に座らせてくれたので、痴漢の手も私から離れた。
「ありがとうございます」
「いえ、お大事に!」
彼は私に笑いかけてくれたので、なんとなくホッとした。
そしてそのまま何事もなく吉原の駅に着き、降りようとしたらその彼もそこで降りるようだった。