第4章 彼の正体
「な、なんであなたがここにっ!」
私はやっとの思いで言葉を口にする。
「なんでって…俺ここのオーナーだから。……名前が偶然同じですごいと思ってたら同一人物だったのか…」
彼がくしゃっと顔を歪めて、苦笑する。
「オーナーって事は…斗真君のお兄さんだったんですね」
驚きすぎて私は引きつった笑顔しかできない。
しかも昼の姿の時にお客様と会ったことがないのでなんだか恥ずかしい。
もう少しお話ししたかったが斗真が戻ってきた。
「お、兄ちゃん!お菓子ごちそうさまっ!安くしてくれてありがとね」
私も彼に続けて頭をさげる。
「いえ、こちらこそお買い上げありがとうございます。
お気をつけてお帰りください。
斗真、しっかり優里さんを送り届けてくださいね」
すっかり仕事モードに戻った蒼茉さんが
私達を見送ってくれた。
それから談笑しつつ、一度私達は学校へ戻る。
「生菓子とか腐らないように当日配達だからお菓子の心配はないね」
「そうだね、それじゃあ私達も帰ろうか」
私は最初断ったが斗真が蒼茉さんに
「ちゃんと送れっ」て言われたからと言って家まで送ってもらうことにした。
徒歩1分だけどね。
「いっつも優里はこの門を登ってるんだろ?」
「うん、私きた時は空いてないから」
私がそう答えている合間に斗真が門に登る。
「これを毎朝か…なかなかハードだな」
「だよね、閉めなくても良いじゃん「いや、お前が早く来いよっっ!」
なんて合間なくツッコミされたので
声を出して笑ってしまった。
「学祭まであと3日しかないけど、上手くいくよね?」
「きっとな。俺らのクラスは『キャバ&ホストcafé』だっけ?俺、ドレス着なきゃいけない…」
「私はまだスーツだから良いかな。
斗真のドレス姿納めなくちゃ」
なんで話していたらあっという間に着いた。
「ありがとう。気をつけて帰ってね」
「おう、戸締りしっかりな」
そう言って斗真は走って逆方向へと帰って行った。
さて、私は夜の姿にならなきゃ。
時計の針はPM5:45を示していた。