• テキストサイズ

私は吉原のお姫様【R18】

第4章 彼の正体


「ほい、ここ!」



彼が止まった所はスーパーだとかマーケットという所ではない。

デパートという所だろう。しかもかなり高級の。



「生徒会費が足りない気が……」


「大丈夫、大丈夫!安くしてくれるからっ!」


そんかことを言いながら私は彼に背中を押されて中に入る。


苦学生の私にはここは世界が違う。

吉原のように明るいが、ここは上品な明かりだ。

店の中にいる人もどこかの貴婦人のようで私達が場違いのように感じる。



「斗真様っ!お待たせしましたか?」


不意に聞こえた声の方を見ればスーツを着た紳士が小走り気味にやってくる。



斗真様っ…⁉︎、斗真っておぼっちゃまなの?


そんな驚きを私がしているうちに、
彼らが挨拶を交わしていた。


「優里、行こうっ!兄ちゃんが安いの選んでくれてるって」


斗真が私の手を掴み、前を歩いてくれる。


個室へと連れて行かれると、最初に目に入ったのはテーブルの上のお菓子の山だった。


「すごい量…どれも美味しそうだね」


私がパッケージを見ていると、扉から
スーツ姿の人達が台車と共に来た。



「蒼茉 (そうま) 様が選んでくれたお菓子がそちらのテーブルの上にあります。

そしてこちらに試食を全種類用意したのでご賞味ください」


そう言ってその人たちは恭しく出て行った。



それから私達はどれが美味しいかを確認しに入った。


正直、どれも美味しすぎて私には決められないのだが斗真は違いが分かるようだ。

さすがおぼっちゃまだと思う。


お腹が膨れてきたところで丁度お菓子が決まった。


可愛らしい形のクッキーやブラウニーなどとにかく詰め込んだ。



「俺がお金払ってくる!」


私は彼にお金を払ってもらってる間に
扉付近で待っていた。



「優里さんですね?いつも斗真がお世話になっております」


私がその声で後ろを振り向くと、私に頭を下げているスーツの男性がいた。


急な出来事で驚いていたが、彼が頭を上げた時は心臓が止まるかと思った。



「「ー昨日のっ……!!」」



2人して相手の顔を見て驚く。


私の目の前にいるのは昨日の夜に一夜の関係を持ったあの人だった。


今日は昨日会った時のように髪の毛をオールバックのようにしていてグッと大人っぽく感じる。

/ 97ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp